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感想 東慎也 個展「密林からのナックルボール」

 

東慎也  個展

「密林からのナックルボール

 

会 期:2021年10月15日(金)~11月7日(日)

時 間:12:00~19:00

休 廊:月

場 所:EUKARYOTE

展覧会URL:

http://eukaryote.jp/exhibition/shinya_azuma_solo_exhibition/

 


 

「東慎也」さんで検索してみてください。

 

3331 ART FAIR 2021(2021年10月29日(金)〜10月31日(日))で出品された作品を様々な人がツイートしていたり、飯田美穂さんとの2人展「Welcome to the Painting Jungle」がbiscuit galleryで開催(2021年11月3日(水)〜11月21日(日))、Art Collaboration Kyoto(2021年11月5日(金)〜11月7日(日))でも作品が出品されています。

 

いや、気になっちゃう。

 

好きな作風の情報ばかりが集まるようになっているんでしょうか?これをエコーチェンバー現象というのですか?それにしても同時多発的。

 

注目の作家といってよいと思います。

 

つぶらで簡略化された瞳の動物や裸の人物。筆跡が残る背景。子供の絵のような要素があるのに、子供の絵ではないとひと目で分かる画力、構図や色彩。

そして、物々しい銃やナイフの描写。

 

東さんの個展を東京のEUKARYOTEにて観てきました。

 

「9:1 or 1:9 ROUND1」

 

「9:1 or 1:9 ROUND1」部分拡大

 

左:「Dear my master」右:「Suiciders」


 

「Dear my master」

 

「Dear my master」部分拡大


 

「Suiciders」

 

「Suiciders」部分拡大


「9:1 or 1:9 ROUND1」では格闘ゲームのようなバーがある画面で火炎放射攻撃を受けている人物の顔や炎は生々しく、「Dear my master」は誰もが一度はボールペンで指の間をトントンしたことがあるゲームのナイフバージョンなのか、小指を切り落とそうとしている任侠映画の一幕なのか。

投身自殺しているように見える人物は飼い猫に救われるのか、落とされたのか、喰われるのか、なぜ複数形「Suiciders」なのか。

 

一見かわいい表情の人物や動物ですが、シンプルな表現で強調されているのは容易に想像できる痛みの感覚であると分かります。

 

痛覚が強調されている部分は油絵の具が盛り上がり、ねっとりとした質感と匂いとが合わさって、絵という平面の情報を観ていたはずが、その部分のみ立体であるような、妙な現実味を帯びて訴えてくるようでした。

 

「Watching owl」

 

「Watching owl」部分拡大


 

「Watching owl」ではバスルームでのフクロウとの遭遇が描かれています。これは東さんが実際に訪問したお宅でフクロウが飼われており、来客ということで一時的にバスルームに閉じ込められていたフクロウと、一番無防備なトイレ中に遭遇してしまったというエピソードが元になっているそうです。

 

急所とね、鋭利な嘴が、近い。

 

 

左:「密林からのナックルボール」

右:「targeting or targeted」

 

「密林からのナックルボール」


 

「targeting or targeted」


 

「targeting or targeted」部分拡大


展示タイトルにあるナックルボールは、その軌道が打者はもちろん受ける捕手や投手本人にすら予想がつかない球種のことです。私にはこの展示が、一見優しくかわいく見えるものの中に潜む痛覚を表現していると捉えましたが、具体的に何を感じ取るかは、鑑賞者が潜在的にストックしている情報の密林から浮かび上がってくる思いもよらないものであるということだと思います。

 

自分が何を感じ取るか、実際の作品をぜひ観に行ってみてください。

 


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