BAKU TAKAHASHI solo exhibition
"MENTAL PICTURES #3"
会 期:2021年11月12日(金) - 11月21日(日)
時 間:12時-19時(最終日17時終了)
休 廊:月
場 所:白紙
展覧会URL:
当サイトは、あまり知られていないけれど良い作品、をご紹介の基準にしているのですが、高橋漠さんのこちらのガラス作品はすでに人気です。初日のみ予約必須でほぼSold outだったようで、2日目に伺ったところ、ポスターはまだある、という状況でした。
ぱっと見て、ポップ。鮮やかな色と、カワイイようなカッコイイような洗練された形。着色部分は細かい粒が付いていて、みすゞ飴に砂糖をまぶしたような表面が半透明のマットな優しい光を通します。樹脂でなく、ガラスで出来ているというのだから驚きです。
みすゞ飴な部分、伝われ。
会場は「白紙」。1階にある、ファッションからアートまでキュレーションするセレクトショップGraphpaperが、ギャラリー機能だけを移しとって新スペースとして同ビル3階に2021年9月にオープンした場所です。
多くのギャラリーは閉鎖された空間と白い壁に作品を展示するのがスタンダードな形として普及していますが、今回の展示は会場がビルの3階なだけあって大きい窓が陽を取り込んでおり、暮れていく空が半透明のガラス作品をより美しく見せていました。
私の伺った時間が夕刻だったので、昼や夜の光ではまた違った表情が見れると思います。
高橋さんの作品制作は、まず記憶の中からビジュアルを掘り起こし、リラックスした状態でそのビジュアルをデフォルメスケッチし、ガラスパーツに作り替え、できたパーツをたくさん並べて組み合わせる、という手順を辿っています。
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自分が見たことのないようなものを作ることができたときの感覚を皆さんとシェアしたいという気持ちで展示会を開催しています。(Interview article on T Magazine ー BAKU TAKAHASHI WORKS PROFILEより)
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元となっている記憶の文脈に縛られないように注意しています。説明しづらいですが、自分が自身の作業を観客のような視点で見ながら、外から創造に参加しているような感覚を大事にしています。
この制作プロセスは自分でも思い描けなかったようなものを作るために考えました。そうして出来上がった作品を「見たことがあるようで見たことがないようなもの」と捉えています。この「見たことがあるようで見たことがないようなもの」と向き合う時、僕はそれを何かに例えようと、また自分の記憶の中から似ているものを探し出そうとしていることに気が付きます。
もしかしたら僕の作品を見た人も、何かに例えたり、別の何かを思い出すかもしれません。人それぞれが作品に対して、それぞれの解釈を持つことを、僕はとても面白いなと思っています。
(”MENTAL PICTURES #2” 2021.08 Spiral ──MENTAL PICTURESより)
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不確実性を取り入れて新たなインスピレーションを受け取り、編集者の目で編集し直す。高橋さんの作品は、記憶と私たちをつなぐパイプの役割を担っています。凝視するでもなく鑑賞するでもなくただ見ていたかもしれないものが、まるで写真の、ピントが合ってない背景のように淡くぼやけて脳裏に甦る。その記憶はみすゞ飴のような、どこか甘い雰囲気を醸し出しているかもしれません。
みすゞ飴って砂糖がまぶしてあるものなんてあったっけ?あれはちがうお菓子だったかしら。曖昧な記憶はどこか面白く、優しいですね。
会場にはスケッチも数多く展示されています。ぜひ足を運んでみてください。
展示風景画像:BAKU TAKAHASHI solo exhibition "MENTAL PICTURES #3"
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