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感想 vug solo exhibition "au milieu"

 

vug  solo exhibition "au milieu"

 

 

会 期:2022年1月11日(火) - 2022年2月13日(日)

時 間:11:00-20:00

休 廊:2022年2月11日(金)

場 所:CO&CO

   (名古屋市中区栄3丁目18-1 ナディアパークB1)

展覧会URL:

https://www.instagram.com/p/CYQLLZ1PxK-/

 


 

どうしても東京か神奈川の情報が多くなってしまう当サイトですが、今回はなんと名古屋です。

 


 

豊田市美術館のホー・ツーニェン「百鬼夜行」展を目当てにまず名古屋に行きまして、名古屋市美術館の「現代美術のポジション 2021-2022」展なども楽しみました。この2つの美術館の展示は当サイトの「作品が買える」に該当しないのでレビューする予定はなく、純粋にアート好きとして観に行っただけなのですが、せっかくなので名古屋で面白い展示がないか探していたところ、1/11にできたばかりのコワーキングカフェを含む複合スペースCO&COさんでのvugさんの展示にたどり着きました。

 

併設の poool - Espresso & Work - ではこだわりのおいしいコーヒーを購入できます。


 

vugさんは1988年生まれ。4歳の頃に描いた絵を褒められた事がきっかけで以後、独学で絵を描きはじめます。20歳の頃に出会ったグラフィティの影響も大きく、 現在はドローイングを軸にコラージュやライブペインティング、ファッションアイテム等の制作や、個展やグループ展でも積極的に作品を発表。2019年に名古屋城にて開催された Boiler Room Nagoya では100mにも及ぶインスタレーションを製作、2021年のATAMI ART GRANTではキュレーションホテル桃山雅苑のウォールペインティングを行うなど、キャンパスを越え表現の幅を広げています。

 

こちらの壁画はオープンからの3日間(1/11-13)で公開制作により描かれたもの。縦3m × 横7m。

キャッチボール。カイワ。

別角度より。

ジユウ。セイチョウ。


 

会場の作品はすべて新作。明るい色面と洗練された線が特徴の作品が並びます。

 





 

在廊されていたvugさんにお話を伺うことができました。

 

vugさんは自身の日常から感じたことなどをテーマに作品を描かれます。「テーマやコンセプトがあるようなないような」と、あえておっしゃっていて、観る人が感じ取ること、を尊重した作品という印象を受けました。壁画に描かれた、キャッチボール。カイワ。に繋がります。

 

グラフィティの影響がみられる線や色面のバランスなど、作品の見た目が洗練されているため、人を惹きつける魅力があり、リストには売約済みの印も多くみられました。

 

特徴的な線は、PC上で描いたものを元にキャンバスに描かれています。赤い、立体感のある画面に線を描いていく作風から、徐々に新しい表現に変わってきているそうです。

 






 

マチエールが特徴的な作品も多くあり、平滑とは限らない壁などに描いてきたvugさんの経験が表れています。凹凸のある面に輪郭が滑らかな線を描くのは難しいように思いますが、さらっとやって見せているところがあります。

 


 

 

描かれているもの自体にも面白いテーマが潜んでいて、こちらは2021年末に開催された朝倉未来vs斎藤裕の試合の場面です。

 

vugさんはとても気さくな方で、格闘技で観るべきオススメ選手をいろいろと教えてくれました。作品の話より格闘技の話の方で盛り上がった気がします笑。

 

作家さんと話せる醍醐味はこういうところだったりします。


 

会場にはアパレルグッズも販売されており、poool - Espresso & Work - さんのロンTまたはパーカーを購入すると、その場でvugさんがドローイングを描いてくれる企画もやっています。

 

本屋さんも併設。画像はvugさんのグッズ販売の様子です。

広いスペースですが、沢山の作品で溢れていました。


 

以下は本展の作家ステートメントです。

 

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小さい頃におばあちゃんに連れられる魚市場の匂いが凄く苦手でそれ以来、海が好きじゃなかった。

ある日、海の上に立つホテルから紹介状をもらい向かった。

そこは17階の建てのホテルでしかも暗いし、非日常の世界でしかも広い。

海に飛び込んだ形跡の靴だけが残っていた日もあった。

みんなで食べたカレーは美味くておかわりしたら食べ過ぎてゲボでそうになった。

暇だったんでホテルの全階を探検したしみんなで見た屋上の花火と露天風呂から見る夜の空には感動した。

海の上に立つホテルから帰ってきたぼくは浦島太郎みたいに変わった。

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このステートメントに出てくる「海の上に立つホテル」は、前述のATAMI ART GRANTの際に宿泊していたホテルニューアカオのことを指します。ここで、作家やキュレーターなど、様々な出会いもあったそうです。

 


 

展覧会タイトルの「au milieu」はフランス語で「さなか」という意味があります。経験した出来事や出会いを通じ、変化の最中であることにポジティブなvugさん。会場のCO&COのスタッフさんも色々とお話してくださり、予期しなかった出会いから生まれるプロジェクトやコミュニティを生み出す場所でありたいという思いと、とても合致した展示でした。

 

アートを観る時、「正解」がある前提でそれを当てにいくような見方をしてしまうことがあります。しかし、主張するアートがある一方で (主張するアートにも独自の意見を持つことは許されているので「正解」があるわけではないですが) 、より日常的なコミュニケーションとしてのアートもあるわけで、後者の、予期せぬ日常のコミュニケーションこそが、後になって振り返ってみれば大きな変化のきっかけだった、なんてこともあるのではないでしょうか。心をオープンに、キャッチボールを楽しむことの重要さを思い出させてくれました。

 

ぜひ、足を運んでみてください。

 

展示風景画像:vug  solo exhibition "au milieu"


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