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感想 KATAYOSE YUTO Solo Exhibition "Gray Scale"

 

KATAYOSE YUTO Solo Exhibition

"Gray Scale"

 

会 期:2022年5月6日(金) - 2022年5月15日(日)

時 間:12時-19時

休 廊:期間中無休

場 所:Gallery Blue 3143

展覧会URL:

https://www.instagram.com/p/CdH-kb7rxHa/


 

片寄優斗さんは1995年生まれ、京都精華大学デザイン学部イラスト学科卒業。現在はデザイン事務所に勤めながら作家活動をされています。東京では初の個展です。

 

"Gray Scale"という本展タイトルにも表れているように、片寄さんの作品は、基本的にシャープペンシルのみで描きあげるという超絶技巧のモノクロ画面が特徴です。

 

 部分拡大の画像の上部の葉先ですが、シャープペンシルの芯 = 黒鉛、の密度が高すぎて照明を反射し、暖色系に写っています。繰り返しますが、作品はモノクロです。凄まじい密度と表面の滑らかさ。白の部分はあくまでも真っ白で、芯の汚れ一つなく、また描かれている部分と描かれていない部分の凹凸もほとんど見られません。狂気!

 

 鏡面のように反射する部分と、ベルベットのように柔らかく光る部分の描き分けで表現されています。ここまでくると「描かれている」というより、黒鉛の密度を変えて、物質そのものを見せている、と表現したほうが適切なのかも? 職人技を見ているようにも思います。

 


質感の描き分けなどの超絶技巧にも舌を巻きますが、ストリートの雰囲気も思わせる、純粋な「絵のかっこよさ」もあります。

 




Gallery Blue 3143のオーナーでありイラストレーターでもあるキクチノリユキさんは、爽健美茶ペットボトルイラストを担当されていたりと、ご自身もすごい方なのですが、片寄さんの作品は、そんなキクチさんの目から見ても驚くものだったそうです。直線部分に定規を使うことはあっても、曲線等含め、フリーハンドで描いていて消しゴムも使う、そうなのですが、、、それを聞いてもどうやって描いているのか首を傾げてしまう、と。

 

右手前の人物の、白抜きで表された線もグラデーションになっていて、細かいところまでこだわって描かれています。

 


余白との境がハッキリした曲線部分も、もちろんフリーハンド。

 


右端の人物、キャップの上にフードをかぶっているのがわかる。この研ぎ澄まされたフォルムと、中央の人物が背負っている布地の質感の差。平面的な表現と立体的な表現のバランスのセンスもすごい。

 

グレーの色の差で、足の前後、奥行き、陽の当たり具合が表現されています。

 


どこの風景だろう。冷たく澄んだ空気とアスファルトから放出される熱気が混じった、夜の匂いがしてくるようです。

 

都会的な雰囲気が、何とも言えなくかっこいい。

 


 

作品タイトルもステートメントも特になく、技巧と形と構図で「見せる」作品群です。正に、魅せられてしまいました。文脈、であるとか、美術史的な位置づけ、は無くてもいい、というくらい作品がかっこよかったです。作品に魅力があれば十分なんだなぁと改めて気づかされました。


写真画像では伝えきれない魅力。ぜひ、足を運んでみてください。

 

 

 

展示風景画像:KATAYOSE YUTO Solo Exhibition "Gray Scale"


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