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感想 オカダキサラ 個展「TOKY∞VER」

 

オカダキサラ 個展「TOKY∞VER」

 

会 期:2022年5月18日(水) - 2022年5月29日(日)

時 間:水-金 12時-19時30分 土日 12時-18時

   (最終日17時終了)

休 廊:月火 

場 所:Gallery TK2

展覧会URL:

https://www.interart7.com/オカダキサラtokyoover


 

オカダキサラさんのスナップ写真の作品を見たのはインスタグラムです。一瞬の「ん?」というひっかかり。よくよく見るとクスッと笑ってしまうような状況。個展「TOKY∞VER」が開催中なので観に行ってきました。

 

オカダさんは12年以上に渡り、東京で見られる日常をスナップ写真に切り取って来ました。日に撮影する量は100〜200枚。もとはアニメを作りたくて武蔵野美術大学映像科で学んでいたそうですが、課題で提出したスナップ写真を見た教授に「君はスナップをやるべきだ!」と推され、今に至ります。

 

本展「TOKY∞VER」は、新型コロナの流行に見舞われ、2020年の開催予定を延期して2021年に開催された東京オリンピックを軸に、ある意味オリンピックが終わるまで前に進むことが出来なかった東京が、オリンピックを終え、また歩みを始めるまでを切り取った作品群が展示されています。

 

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東京オリンピックの開催の延期が決まると、カウントダウンを刻む掲示板は時間を戻され、年を越えて2021年になっても「TOKYO2020」のスローガンは街を飾り続けました。 まるで2020年の夏を引き止めているようで、流行を追いかけ目まぐるしく変化していく東京らしくはない姿でした。

本展では、東京が五輪の開催地としての役割を果たし、時計の針を進めるまでの記録を展示します。

2019年から東京オリンピックをテーマに作品を発表してきましたが、今回が締めとなります。

 

(作家ステートメント)

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金の時計。あ、金メダルってことか! (今気づいた、、、)

 

針のない時計に貼られたストリートスナップ作品。5色の時計が五輪のマークのように並んでいます。

 

本展の作品タイトルは全て「無題」です (本文中、タイトルっぽく一言添えているのは筆者によるものです) 。

左奥の人物、足よく上がるなぁ、、、。手前のオブジェと合わせてアクロバティックな技を決めるスケート会場に見える。


アキレス腱を伸ばして、、、信号が青になったとたんに飛び出して行くんですね。わかります。


かくれんぼ選手権。


かくれんぼ選手権2。


かくれてたけど出て来た選手権。


シンクロナイズド。


Not シンクロナイズド。


Not 太陽の塔。


左右対称選手権。


お気づきだろうか、、、? これはただの左右対称選手権ではない、、、。

、、、! いる!


かくれんぼ選手権3。


ジャンプ選手権。


 

そして、、、

よく見ると、、、時計の色の並びがこの5作品だけ変わっている、、、! オリンピックシンボルで検索してみたら、色の並びはこちらの順が正しかったです。 今までご紹介してきたものは鏡像のように色の左右が逆になっていました。時間が逆に流れたということの象徴? 2020年の夏に時を戻し続けた東京の姿が続いていて、最後の5作品は、やっと前を向いて進み始めた東京、ということなのでしょうか。

ロマンティックシティトーキョー。


ロマンティックシティトーキョー2。


 

オカダさんは過去の展覧会タイトルや作品のクレジットに「©TOKYO」とつけていて、それは、自身の作品は東京で起こっている現実を間借りして作られた言わば二次創作である、という思いがあるからだそうです。

 

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東京っていろんなものがごちゃごちゃしている街で、変化も目まぐるしい場所じゃないですか。私はそんな東京そのものに興味があるんだと思います。

 

(SPICE 写真家・オカダキサラにインタビュー より抜粋)

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最後の時計の5色の並びがオリンピックシンボルに則って正しく変わっているのに気づいたのは、この記事を書く段階になってからなのですが、それよりも先に、現地で作品を鑑賞した時点で、最後の5作品の雰囲気が何となく他の作品と違っているな、と感じていたのもあります。少しロマンティックというか、「めでたし、めでたし」というナレーションが聞こえてくるような雰囲気です。

 

長い間、東京そのものに興味を持ち、東京のありのままの姿を切り取り続けてきたオカダさんにとって、この「TOKYO2020」期間の、何やらいつもと違う東京の姿は、少し心配になる様相を呈していたのかもしれません。親友がいつもと違う。いつも新しいことに敏感で、先へ先へとばかり、常に驚かせてくれていたのに、どうしたんだろう。作品には、クスッとしてしまうユーモアや、ドキッとするような気づきもありますが、どことなく、東京オリンピックが終わるまでは何とかしなきゃいけない、というような変なプレッシャーを皆が感じていて、その空気感も写し出されてしまっていた、街を形成する人々の不安や緊張感が少しずつ景色に滲んでいた、と見ることもできます。それが終わって一区切りついた時の「めでたし、めでたし」という開放感を最後の5作品に感じてしまう。もっと自分を労ってもよかったんじゃないかな。いやぁ、私たち皆、本当によく頑張ったよ。今度は自分たちのことにもっと時間を割かなきゃね。プライベートの象徴のような、寄り添うカップルの姿を、優しく包んでくれる東京の街。

 

オカダさんのスナップ写真が愛されるのは、東京という街に対しての親友のような友情を感じ取れるからではないでしょうか。本展を観た後、街も生き物なんだな、という印象が強く残ります。


 

一見、面白い場面のみがフォーカスされているようで、実際は、意図的な狙いのない、ありのままの街の姿がここに写されています。私たちも大好きな東京が、ちょっとしんどかった時期を乗り超えて、また時を刻み始めました。共に頑張った自分を労わりつつ、この奮闘の記録を振り返りに、ぜひ足を運んでみてください。

 

 

 

展示風景画像:オカダキサラ 個展「TOKY∞VER」

参考:SPICE 写真家・オカダキサラにインタビュー


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