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感想 「Supernatural LABO」

「Supernatural LABO」


会 期:2023年3月4日(土) - 2023年3月19日(日)

時 間:11時-20時 (最終入場は19:45まで。最終日16時終了)

場 所:BE AT STUDIO HARAJUKU(ラフォーレ原宿6F)

出展作家:misato、JACKSON kaki、村田実莉

展覧会URL:

https://be-at-tokyo.com/projects/beatstudio/11730/

主 催:株式会社ビーアット

企 画:misato

助 成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 【芸術文化魅力創出助成】

協 力:BEAMS CULTUART、ラフォーレ原宿 

チケット:前売り 800円(税込)、当日 1000円(税込)

プレイガイド:チケットぴあ

 


ARやVRなどの最先端技術を用い表現活動を行うデジタルアーティスト、misatoさん、JACKSON kakiさん、村田実莉さんの3名によるインスタレーションを観に、ラフォーレ原宿に行ってきました。

 

入場料ありの展示ですが、期間中、ラフォーレ原宿の全店舗にて5000円(税込)以上買うと、無料ご招待いただけるようです。※1人1枚まで / なくなり次第終了。詳細は→https://www.laforet.ne.jp/news_events/1168

 

最近の個人的な関心事として、AI が人間の知性を大幅に凌駕するシンギュラリティがいつ来るのか (もう来ている?) 、ということと、別件からの関心事として「受肉」というワードが気になっており、JACKSON kaki さんの「アバターに受肉する試み」という作品をSNSで拝見し「私的にタイムリー!」ということで伺った次第です。

 

どことなく80 - 90年代のSFアニメに登場するマッドサイエンティストの部屋?のような怪しい雰囲気が、、、。



 

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Supernatural LABOへのご招待

 

私たちは、人生の迷いをクリーニングするセラピストとして、また、あなたの潜在能力を開くゲートキーパーとして、未来の実験室 「Supernatural LABO (SNL) 」 を作りました。

 

私たちは、研究者として独立する以前、誰もが知っているようなビジュアル制作、プログラミングやシナリオ設計、動画やWEBサイトのデザイン制作などを手がけておりました。

このような経歴を生かし、AI データベースをカスタマイズすることで皆さんの中に眠る問題を解決するAI 脳科学チューニングを発明いたしました。

 

最新デジタル機器、光学スキャン、ミュージックセラピーなど様々な手法で、多くの方の脳内にある、無意識のブロックを外すためのデータベースを新たに入力し、波動調整することで、物理的な問題だけでなく、無意識的な問題までをも解消できるようにしたものが、今回ご案内させていただくSNLなのです。

「あなたが本来持っている力を 100%発揮できるようにチューニングしていきます。」

 

・効果のタイミング

SNL が行うことは、その人が本来持っている力を発揮するための障害を取り除くことです。

※効果を実感できるタイミングは人によって異なります。

 

・意識について

チューニングを受けることによって、「気づき」を得たり、意識を開く力を生み出します。

 

(BE AT TOKYO Supernatural LABO より抜粋)

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いいですねぇ。胡散臭さを含めて好きな世界観です。

 

 

この Supernatural LABO (SNL) の研究員3名の紹介は以下の通り。

 

JACKSON kaki

 

misato  充彗


 

村田実莉


よく見るとウィキペディアのページになっているという凝った仕様になっています。いえ、現実かも知れません。ウィキペディアには載ってない? 私たちのウィキペディアが信用に足るものだといつから認識していた、、、? そう、これは私たちの世界線ではない、別の世界線のウィキペディアなのだ、、、!

 

 

 

LABO-01「Incarnated Avatar」JACKSON kaki

私がSNSで見たのはこの受肉装置です。

 

会場では、人工的な音声が流れ、丸いモニターには色々な顔が次々と現れます。私には「肉体」はそれなりに不便なものと思うのですが、、、。元々「肉体」を持たなかった存在からすると、やっぱり羨ましいものなんでしょうか?

 

そんな風に自由にコロコロと、顔や性別、声を変えられなくなるんだけどなぁ、、、。


「私には皮膚があるが中身はない」という言葉が印象的でした。

 

1995年公開、押井守監督の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」が好きな私としては、どストライクな世界観です。あの映画の中で草薙素子は脳まで電脳化した自分自身と、そうではないアンドロイドのような存在との差は何か? という疑問を持っていました。ネタバレになりますが、映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」では、この「Incarnated Avatar」と真逆のことが起こっていると言えます。キリスト教の世界観で言えば、父なる神からイエス・キリストとして受肉するのがこの「Incarnated Avatar」で、反対にキリストが十字架の後、復活を経て昇天し、再び全能の父と一体となったのが「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」という見方です。

 

ううむ、肉体を持つと結局人間のように不自由になる、と思うのですが、アバターたちが肉体を持ちたいと渇望しているように思える本作品からは、どこかのタイミングで一度は「受肉」という段階を経る必要があるのか、というようなことを考えさせられます。

 

私が個人的に最近「受肉」が気になっていた理由は、芸術作品における作者の「受肉」に関して、ということでして、作者が「全知全能の神」としてほぼ作品内の世界をすべて自由に作っている作品、と、作者が作品内の世界に受肉していて不自由になっている部分が存在している作品、の2種類がある、ということです。もっと平たく言えば、後者は作者の意図から離れた部分を持っている作品、ということで、これは現代になればなるほど顕著な傾向だと思っています。制作中に無意識になるとか、偶然の要素を取り入れるとか、鑑賞者の働きかけを要するとか、そういったことがモダニズムには必要だったのではないか。物語にしても、作者が「全知全能の神」という絶対的な存在として、すべて予定された通りに事が運ぶ作品があり、そういった作品の中にはもちろん傑作も存在するのですが、「実は予定してなかったが、キャラクターが勝手に動いた」とか「SNSの反応と逆を行くことになった」というようなエピソードを経て意外な結末などに辿り着いていたほうが「現代における」評価が高い、という印象があります。そこから、モダニズムとはつまり「作者の受肉」なのではないか、という仮説が浮上したのです。

 

しかし、後世から見てこの「作者の受肉」がどう評価されるのかはまた別の話であるとも思います。キリストが一般人と同じスペックになって何の奇跡も起こさないとなると、受肉の意味もありません。作者が作者の意図を全く示さなければ、何が作品たらしめているのか、ということになります。「受肉し過ぎること」は作品制作の責任放棄とも取れるわけで、これはAI による制作物には著作権が認められなかった事例の中で「作家が結果を予測できない」ということが判断の大きな分かれ目になったことにも関係していると思います。→参考記事【おすすめ 読み物】「AI」が描いた絵の著作権

 

脱線から戻りますと、本作品「Incarnated Avatar」では受肉したアバターは、私たち「人間」と「同スペック」であってはならない、それでは意味がないとなります。ということはやはり「人間に取って代わる、新たな存在」になってしまうわけで、それを面白がって観ている私 = 人間 はアホなのか、という結論に達しました、、、。

 

観察されているアホな私の姿がモニターで確認出来ます。

痛そう、、、。

 


このSONYのテレビデオ、懐かしい。絶対、80 - 90年代のSFは関係していると思われます。

 


80 - 90年代のSFの中に登場するマッドサイエンティストを、同時代では「フィクション」として、しばらくして2000年代ともなると「出尽くした陳腐な存在」として受け止めることもあったように思いますが、2020年代の現代はどうでしょうか? この「肉体を持つアバター」の実験はフィクションと言い切れるでしょうか? 猫型配膳ロボットを、メタバース上で美少女の肉体をまとったおじさんを、AI による生成物を、現代の私たちは普通に受け止めてはいないでしょうか? 皆、少しずつアホになっていって、結局は受肉したアバターを十字架に磔にするのでしょうか? 草薙素子の一人勝ちか、、、?

 


 

 

 

LABO-02「Supervised meditation」misato 充彗

あああ、、、SNLは Inner Universe へのアクセスまで行っているのか、、、ヤバいぞこれは (LABO-01「Incarnated Avatar」の展示を観て己のアホさ、いや、SNLの裏にある恐ろしい計画に気づき、彼らによる人類への働きかけを阻止する、という主人公目線で鑑賞し始めています) 。

 

瞑想によるGHOSTへのアクセス。この「中身」の存在こそが人間の特権を裏付ける手がかりなのに、奴らの研究はそこへ至る方法にまで及んでいたとは、、、!

 

モニターにバッチリ映る被験者、、、。

 


「クリスタルボウルのフチをグルグルとこすったり軽く叩いたりしてみてください」だと、、、? 虎穴に入らずんば虎子を得ず、敵の誘いに乗ってやろうじゃないか!

 

おりんのようなクリスタルボウルを鳴らすと、、、体が音に包み込まれ、、、、

 

ぜひ、体験してみましょう (洗脳済み) 。

 

 

 

中央にあるのはルーン文字の「ユル」に見えます。死と再生を意味するそうですが、物事の終わり、終末、苦痛を伴うバッドエンドも含むと言われています。生まれ変わるため、過去からすっぱりと脱皮するような、抜本的な方向転換を示唆されているようです。

 

、、、というと「Supervised meditation」を体験する前の私は、誰だったんでしょうか?

 

 

 

LABO-03「Automatic Bloods」村田実莉

このキャプションに登場する「戦略十訓」を以下に掲載します。

 

1. もっと使わせろ

2. 捨てさせろ

3. 無駄使いさせろ

4. 季節を忘れさせろ

5. 贈り物をさせろ

6. 組み合わせで買わせろ

7. きっかけを投じろ

8. 流行遅れにさせろ

9. 気安く買わせろ

10. 混乱をつくり出せ

 

世の中で話題になっているものが追いきれなくて、倍速で動画チェックする日々。新しいものを知るために新しい情報を買って、古くなったものはどんどん後方に追いやる。プレゼントもメッセンジャーアプリ経由で贈れるし、決済も簡単で、こんなに手軽になって時間を節約しているのに、いつも忙しい。ちょっと前までは、TVプログラムを観ておけば良かった。子供の頃は、土曜の夜8時にドリフだけ観ておけば良かったんです。どうしましょう、人気のYouTubeチャンネルが多過ぎる、、、ながらで動画チェックするためにプレミアム料金を払うべきなんでしょうか、、、? そうこうしているうちに、話題の展覧会を見逃している、、、!

 

ああ、、、我ら人間のもう一つの「中身」 =「流れる血」とは何だったのか? 我らの血とは、そうだ、お金だったのだ。我らがデジタルな存在に勝てないのだとしたら、それは食わねば生きていけないという身体の不自由さに一因がある。食うためにはお金が必要。そしてそのお金の流れはすでに、、、!

 

決済の記録として流れ続ける我らの血。子供用のプールに無邪気に流れ続けているのが、、、辛い。


”CARBON MEETS O2” わー、二酸化炭素だ!CARBON BANK CARD みんな持ってるよね!

どーん。私、ブラックカードユーザーでしたー! (会場の物販で買えます)


水は買ってる、、、。

オーガニックコットンの、、、ケツ拭き(DeepLによる訳です、私じゃありません) 。


痛みはあなたの痛みを和らげます。その痛みって誰の?

Thank you for taking my life. Please take care it carefully.


しかし会場では魅力的なアイテムが販売されています、、、。つい、血を流してしまうのか。

 


退室する際もスキャンされデータが採られている、、、!

 

 

 

以上、純粋に面白いインスタレーション鑑賞をした!と言い切ってもいいのですが、その「フィクション」としての楽しみ方はひょっとしたら「時代遅れ」であり、かといって流れに逆らえるほどの気概もなく、「CARBON BANK CARD」を買い求め、自分のアイデンティティ確認のために瞑想に興じ、それすらも監視され、行き着く未来で私は、受肉したアバターを十字架にかけようとするのでしょうか。

 

、、、、、、。

 

ぜひ、足を運んでみてください!

 

 

 

 

展示風景画像:「Supernatural LABO」@BE AT STUDIO HARAJUKU 2023


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